みなとまちアニマルクリニック(清水区動物医療センター)は、心臓病・腎臓病・麻酔に力を入れている動物病院です。

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腎生検

本日まで休診とさせていただいたにも関わらず

非常に申し訳ないのですが

明日の昼にもしかしたら大きな手術が入るかもしれなくてですね。

もしかしたら明日の午後の診療はスタートが遅れるか休診となるかもしれないです。

明日の朝の当該わんちゃんの状態によってどうなるかが決まるので

現時点でどうなるかはっきりしなくて申し訳ないのですが、ご理解いただけますと幸いです。

また、インスタで追って連絡させていただくことになるかと思います。

昨日・今日と日本獣医腎泌尿器学会に参加してまいりました。

今日の朝の大会長の挨拶で『さあ皆さん、腎泌尿器の世界にどっぷり浸かりましょう』という

言葉通り、ずっと腎泌尿器な時間でありました。

総合的な学術集会とは違い、かなり分野を深堀りできるのが

こういった専門的な学会の魅力かとは思います。

今回の大会の大きなテーマは『腎生検』でありました。

あまり聞き馴染みのない検査かもしれないですが

簡単に言うと、腎臓の一部を切り取って組織を取ってくる検査です。

人間は局所麻酔で可能な検査ですが

基本的に動物の場合は全身麻酔が推奨される検査になります。

腎生検の適応症例のほとんどは

中程度から重度のタンパク尿を認める時

つまりは糸球体疾患を疑う時となります。

少し話が逸れますが

人医学領域において、透析患者さんの基礎疾患に何が多いかってご存知でしょうか?

一昔前までは上記の糸球体疾患の進行によって透析が必要となった患者さんの数が多かったんです。

そこに腎生検という診断ツールが普及したこともあって

人間の糸球体疾患の分類や治療方法が確立されていきました。

結果として、透析患者さんのうちの糸球体疾患の患者さんが占める割合は減少していき

糖尿病性腎症や糸球体硬化により透析が必要になる患者さんの数を下回るようになった

という歴史があります。

動物の方でも、糸球体疾患は決して予後の良い疾患ではないとされることから

人医学領域にならって腎生検を普及にもっていきたいわけなんですけれども

ここには動物ならではの問題が色々とあるのです。

結果として、今現在の日本で動物における腎生検はあまり普及しておりません。

臨床医から見た問題点としては

全身麻酔をかけて行い、出血のリスクなどまで背負った上で検査を実施して

得られるメリットがそこまで多くないとどうしても考えてしまうこと。

確かに確定診断をして治療にあたるというのは医学における原則の一つなのかもしれません。

ですが、検査を実施したにも関わらず

治療方法に変化がなかったり、予後の改善に繋がらなかったりした場合に

僕たちは患者様になんと説明したら良いのか?という悩みがあったりするわけなんですね。

実際、メリットが少ないというわけではなくて

メリットを享受できる確率が高くない、という感じでしょうか。

戦わないといけない病気の正体をはっきりさせるというのは

患者さんにとっても獣医師にとってもすごく大事な要素ではあるのですが

ルーチンで検査を勧めるためにはもう少し強い後ろ盾みたいなものが欲しいなと

正直考えてしまいます。

また、検査を受注する側の問題というものもありまして

腎臓の組織の検査というものは非常に特殊なんですね。

光学顕微鏡、電子顕微鏡、蛍光抗体法を全て合わせて診断にもっていきます。

これができるのが大学病院レベルの施設が必要なのと

腎臓の病理学に特化した専門的な知識が必要ということでして

現状、この検査を依頼するとしたら

検体を鹿児島もしくは神奈川に送らないといけないという感じになってしまっております。

日本全国の腎臓の検査を二つの大学でしか受けることができないという現状は

臨床医側の問題よりも深刻なんじゃないかなと

話を聞いていて感じた次第です。

問題はたくさんあるわけですけれども

犬さん・猫さんの糸球体疾患のデータを蓄積していくことは

今後の獣医腎泌尿器の分野の発展には必要なんだと思います。

今回の話の中でも腎泌尿器学会が学会主導で何かしらの対策を取っていければ・・・

みたいな話も出ておりました。

学会会員も徐々に増えてきているみたいですし

なんとか学会の力も使ったりで今の日本の現状を変えていけたりしないのかなあと

話を聞きながら考えておりました。

なんとかなってほしい問題ですよね。

とりあえず

当院も腎生検を実施できるような準備だけはしておこうかなと思います。

学会が腎生検を推奨します!みたいな公的な文書を大々的に

発表してくれたりすると、検査勧めやすいんですけどね。。。

それでは、今日はこれくらいで失礼します。

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