みなとまちアニマルクリニック(清水区動物医療センター)は、心臓病・腎臓病・麻酔に力を入れている動物病院です。

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猫さんの慢性腎臓病をより良く管理する①

というセミナーが先日行われました。

猫さんの死因のトップは泌尿器疾患とされており

29.4%がそれに当たるとされています。

そのデータでは泌尿器疾患という括りになっておりますが

イコール慢性腎臓病と考えていて差し支えないかと思います。

で、この報告では

疾患の影響を除いた平均延長寿命はどのくらいですか?

って言うのが各疾患について出ています。

それによると、猫さんの慢性腎臓病の影響を除いた場合

猫さんの寿命は平均で1.6歳延びるとされております。

猫さんは人の4倍以上のスピードで歳を重ねるのであれば

この1.6歳が如何な時間かわかるかと思います。

これはもう頑張ってより良い管理を目指すしかないでしょう。

ということで

猫さんの慢性腎臓病についての標準治療プラスαというセミナーでした。

通常の慢性腎臓病の治療に加えて

・腎臓病療法食の選択

・食欲&体重・筋肉維持

・腸内細菌叢をターゲットにした慢性腎臓病および結腸機能の管理(便秘の予防)

と、この三つがテーマでありました。

ただ、その前に注意喚起として

『皮下点滴で腎臓は治らない』というスライドが一つあったのが印象的でした。

未だに『腎臓の数値が高いから皮下点滴をしましょう』という動物病院が

世の中にはたくさん存在します。

専門医の先生が数年前から色々な場面で発言されていても

その先生達の話をそもそも聞いていないのか、聞く耳を持たないのか?

脱水の無い腎数値が高いだけの慢性腎臓病の猫さんに

毎週皮下点滴をしてしまっている獣医師が多いのが現状です。

点滴の中には結構な量のナトリウムが含まれております。

過剰な補液は過水和にもなりますし、高血圧を悪化させる可能性もあります。

尿中へのカルシウム排泄量を増加させるというデータもありますし

IRISステージ1とか2とかの脱水の無いような子達に

皮下点滴をするのは害しかありません。

という感じの説明でした。

皆様も気をつけましょう。

で、本題に入りますが

食事に関しては以前も書いたものと大きく変わりはありません。

腎臓の数値が高いからといって

慢性腎臓病の初期からタンパク質制限のかかるような腎臓病療法食を与えるのは注意

といった感じです。

早期腎臓サポートやk/d早期アシストなど

最近は腎臓病の早期段階での療法食が出てきていいます。

早過ぎるタンパク制限は

体重減少や高カルシウム血症など

逆に慢性腎臓病を悪化させる可能性のある合併症を引き起こす可能性があります。

今の腎臓病のステージをきちんと見極めた上で

獣医師とどういった食事内容にしていくのか

相談をしながら療法食を選択していくのが良いと思われます。

血液検査でBUNやCre、SDMAを測るだけではなくて

きちんと電解質、カルシウム、リンの数値や

場合によってはFGF23、PTHなどのホルモン測定を組み合わせて

カルシウム・リンの代謝状況を把握し

高血圧の存在がどうであるか

尿検査で蛋白が出ていないかどうかを踏まえた上で

食事に関しては考えていきましょう。

そんな感じのお話でした。

少し長くなってしまったので

あと二つの

体重・筋肉維持と腸内細菌叢の話に関しては

次回以降に回したいと思います。

今日はこの辺で失礼いたします。

慢性腎臓病でお悩みの犬さん・猫さんがもしいらっしゃれば

ぜひ当院までご相談いただければと思います。

セカンドオピニオンについてもご気軽にお申し出ください。

よろしくお願いいたします。

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