みなとまちアニマルクリニック(清水区動物医療センター)は、心臓病・腎臓病・麻酔に力を入れている動物病院です。

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犬さん・猫さんの慢性腎臓病について⑤〜治療編その4『蛋白尿の診断とその治療』〜

このシリーズいつまで続くのかなあと感じてらっしゃる方もいるかもしれません。

おそらくこのペースだと今回を含めてあと3回ぐらいで終わると思います。

腎臓に興味のない方からしたら、こんなつまらないものはないかもしれません。

でも、始めてしまったのもは終わらせるしかありませんので、もう少しお付き合いください。

本当は毎晩聞いている内科学アカデミーで仕入れた情報も書きたいのですが

とりあえずこれを終わらせることを今は優先しております。

本当にすみません。

今日は蛋白尿について書いていきます。

蛋白尿は、院内で行う尿検査に追加して

UPCという尿タンパク・クレアチニン比というものを評価して行います。

このUPC検査は、どのくらい蛋白尿が出ているのかを

数値として定量化して測ることのできる検査でありまして

今までは外注検査で出しておりましたが

昨日から院内で測定できるようになりました。

ご興味のある方は聞いてみてください。

この蛋白尿があるかないかによって

犬さんも猫さんも生存予後に関わると言われております。

わんちゃんの方の報告では

UPCが0.5<の集団と<0.5の集団では

0.5<の集団の方が生存期間が短かったとされております。

猫さんの報告でも

UPCが<0.2の集団の生存期間が明らかに長かったとされております。

これらのことより

慢性腎臓病の犬さん・猫さんにおいて

蛋白尿の検出を認める場合には

治療介入をすることが推奨されております。

具体的に何をするのか?

大きくは薬剤による治療と食事による治療とに分かれます。

薬剤による治療の代表格は

高血圧の治療でも少し登場したテルミサルタンですね。

猫ちゃん用だとセミントラの商品名でご存知の方もいらっしゃるかと思います。

わんちゃんでも猫さんでも

蛋白尿を認める慢性腎臓病の子に関しては

注意しながらテルミサルタンの投薬を検討します。

当院の場合だと、投薬の前後で血液検査とUPC検査を実施し

投薬による腎血流の低下などがないかをモニタリングしながら

蛋白尿を減らすことができているかをチェックしていきます。

高血圧の時にも触れましたが

脱水をしている動物へのテルミサルタンの投与は危険を伴いますので

投薬をしている方は定期的な動物病院への受診が推奨されます。

食事に関しては

各メーカーからいわゆる腎臓病療法食が販売されておりまして

それぞれある程度のタンパク制限をかけることが可能となります。

摂取するタンパク質が少なければ

尿に漏れてしまうタンパク質の量も低下するので

タンパク制限食も蛋白尿に対しては一定の効果があります。

タンパク制限食に関しては

リン制限のところでも触れましたが

筋肉量の減少や高カルシウム血症を引き起こす可能性もありますので

こちらも慎重なモニタリングが必要かと思われます。

そんなわけで

今回は蛋白尿について書きました。

尿検査は人間の健康診断にも入ってくるぐらい重要な項目です。

人間の健康診断でも尿タンパク+となると、引っかかることあると思います。

慢性腎臓病の早期発見のためにという観点からすれば

中高齢の犬さん・猫さんにおいては

健康診断の時に尿検査・UPC検査は重要な位置を占めていると考えています。

ご興味のある方は、よろしければご検討ください。

今日はこのへんで失礼いたします。

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