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犬さんの健康診断時に甲状腺ホルモンを測る意義

動物病院のブログでこういう内容のことを書くと

他の動物病院の先生に失礼だろ!みたいな批判が来るかもしれないですし

そういう他院を批判するようなことは良くない!みたいに怒られちゃうかもしれませんが

間違っていることを間違っていると発信して怒られるんだったら

別に怒られてもいいかなと思うので、今日も書こうかと思います。

こういうことを続けることで

今日は新しい出会いもありましたし

それによって恩恵を受ける動物がいるならそれでいいかなと思います。

で、タイトルの犬さんの甲状腺ホルモンを健康診断に測る意義についてです。

今までも甲状腺機能低下症について書いたことは何度かあったので

ここを読んでいただいている方の中にはご存知の方も多いかもしれませんが

新しい人もいらっしゃると思いますので、申し訳ありませんがお付き合いください。

結論

わんちゃんの健康診断時に甲状腺ホルモンを測る意義はほとんどありません。

というより先日の甲状腺機能低下症のセミナーでも測らない方が良いとされておりました。

オンラインセミナーをスクショして載せられたら楽ですが、それはダメなので

そっくりそのままセミナーでの文章をここに書かせていただくと

安易な甲状腺ホルモン濃度測定は誤診の原因となる。

特に健康診断として測定することは推奨しない。

と岐阜大学の内分泌の先生もおっしゃっておりました。

(*猫ちゃんは検出したい疾患が違うので、あくまでわんちゃんの話と考えてください。)

なんで測ったらダメなのか?ですが

皆様はなぜわんちゃんで甲状腺ホルモンを測定すると思いますか?

理由は、甲状腺機能低下症という甲状腺からホルモンが分泌されにくくなる病気を見つけるためです。

でも、この甲状腺機能低下症ですが

発生率は実は高くないんですよね。

昔というか僕が大学時代の時は

わんちゃんに二番目に多い内分泌疾患なんですよ、と大学の授業で習いましたが

実際は違うみたいです。

というよりも、甲状腺機能低下症と診断されたわんちゃんの中に誤診されていた子がかなり多くいたのだと思います。

何でそんなに誤診が多いのか?

理由は簡単でして・・・

血液中の甲状腺ホルモンの数値って色んな理由で下がるんですね。

ステロイド飲んでいても下がりますし

他の病気で調子が悪くても下がります。

その一見低く見えている甲状腺ホルモンの数値を

そのまま甲状腺機能低下症だ!って診断してしまうのが誤診を招く大きな理由です。

本当は甲状腺機能低下症の臨床症状がなければ甲状腺機能低下症とは言えません。

なので、甲状腺機能低下症を疑う症状があった時に初めて

犬さんの甲状腺ホルモンは測定するべきなんですね。

どんな症状があるかといいますと

・元気がない

・太ってきてしまう

・血液中の中性脂肪やコレステロールの値が高い

・皮膚の症状がなかなか良くならない

そんな感じでしょうか。

あとは、この病気にはなりやすい犬種となりにくい犬種というものがございます。

以下に書いておきますのでよかったらご参考にしてください↓

ハイリスク犬種さん↓(日本に多い品種さんのみ記載します。)

シェルティー、アメリカンコッカー、ゴールデンレトリーバー、ミニチュアシュナウザー、ビーグルなど

ローリスク犬種さん↓

フレンチブルドッグ、パグ、チワワ、シーズー、マルチーズ、ヨークシャテリア、ミニチュアダックスなど

ハイリスク犬種さんで

上記の甲状腺機能低下症の臨床症状を認めるわんちゃんは検査した方が良いかもしれませんし

逆に、ローリスクな犬種さんではよっぽどのことがない限り甲状腺ホルモンを測定する機会はなくて良いのではないかな思います。

ローリスク犬種の多くが日本での人気犬種にランクインしてくるので

日本国内で甲状腺機能低下症じゃないのに甲状腺ホルモン製剤を飲んでいるわんちゃんは相当数いると思われます。

甲状腺機能低下症の治療は足りないホルモンを補うためにホルモン製剤を飲むわけなのですが

これを飲んだからといって健康な子であれば、特に副作用とか出ないんですよね。

だからなかなか誤診がなくならないわけですが

薬を飲まなくて良いのに飲み続けるのはやっぱり可哀想だと思いますし

心臓に疾患を抱えている子なんかは多少なりとも負担にはなると思われます。

長くなりましたがそろそろ終わりにしようかと思います。

これから春に向けて健康診断を受けられる犬さんは多いと思います。

健康診断と一口に言っても

意味のあるもの・ないものが存在すると思いますし

動物病院によってそこの差はかなりあると思います。

『うちは健康診断を毎年しているから安心!』というのではなく

ご家族側もある程度の知識を持っていていただける方が良いと思われます。

血液検査で同じ項目を測っていても、それを解釈する獣医師によって

検査の意味合いってかなり変わるんです。

基準値に入っているのがOKで、入っていないのがNGという

そういうものではありません。

そこらへんもどこかのタイミングで掘り下げて書いてみるのもいいですね。

それでは今日はこのへんで失礼いたします。

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