みなとまちアニマルクリニック(清水区動物医療センター)は、心臓病・腎臓病・麻酔に力を入れている動物病院です。

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Drug repositioning

ドラッグリポジショニングとは

すでに何かの治療薬として有効とされる薬剤の中から

別の疾患にも使えるんじゃないか?みたいな薬剤を見つけ出すことを指します。

今日は先日大阪で開催された癌学会のアーカイブ配信を聞いておりました。

個人的には色々と衝撃的な内容のセミナーもたくさんあって

すごくワクワクさせてくれています。

中でも、先ほど挙げたドラッグリポジショニングを利用した報告が紹介されておりました。

ビンブラスチンという抗がん剤があります。

わんちゃんの肥満細胞種の治療だったり

リンパ腫の治療で用いるビンクリスチンの代わりに用いられることもあります。

そのビンブラスチンに

一般的に心臓病の治療として用いられるβブロッカーという薬剤に分類される

プロプラノロールという薬剤を合わせて使用してみました

という研究です。

えっ?っていう薬剤の組み合わせなわけですが

人の医学の方で同様の研究があるようでして

ビンブラスチンにプロプラノロールを合わせて使用することで

相乗効果が期待できるみたいなんですね。

使用するビンブラスチンの用量自体は少ないみたいですし

プロプラノロールも比較的安全な薬だと思います。

この薬剤の組み合わせ方法は

抗がん剤治療ではありますが

比較的副作用の軽度な薬剤の使用方法ということになります。

それをわんちゃんの血管肉腫に使用してみました、という今回の報告です。

一般的に

進行した血管肉腫の術後の抗がん剤にはドキソルビシンという薬剤の単剤療法が使用されます。

それにより、手術単独だとおよそ2ヶ月の生存期間が6〜7ヶ月に延長するとされています。

他にも色々と薬剤が使用された報告がありますが

このドキソルビシン単剤の数字を大幅に超えることは難しいのが現状です。

で、今回の報告の結果はどうだったのかというと

生存期間中央値は144日でした。

なので5ヶ月弱といった感じでしょうか。

これだけ見たらドキソルビシン単剤の方が良さそうですが

この144日は中央値です。

実際には9〜326日と生存期間には大きく幅がありました。

なんと21例中4例が219日以上生存したそうなんですね。

五分の一の確率で顕著に効く子がいるみたいなんです。

しかも、重度な有害事象はこの報告では起きておりません。

これは血管肉腫という腫瘍に対する戦法として

新たな選択肢が出てきたと言っても過言ではないかもしれません。

これからもっと色々な施設でこの薬剤使用方法の組み合わせが検討され

色々とアップデートされてくると思います。

当院でも、来週から1人のわんちゃんの血管肉腫術後の

ドキソルビシン単剤療法がスタートする予定です。

ドキソルビシン療法の終了後であったり

ドキソルビシンの副作用が強くて中止せざるを得ない場合にも

ビンブラスチン+βブロッカーという組み合わせを検討しても良いかもしれません。

この話を聞いて、ワクワク感が止まらなくなったので

ブログで紹介させていただきました。

明日もがん学会の興味深い情報パート2でお送りしたいと思います。

それでは今日はこの辺で失礼いたします。

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