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犬さんの慢性腸症

今日はブログに書く内容をパッと思いつかないので

先日の望月の裏ブログ的な感じで

先日聞いたセミナーの内容を

メモみたいに書いてきたいと思います。

犬の慢性腸症は、慢性的もしくは間欠的な消化器症状(嘔吐、下痢など)示す。

特発性の慢性腸炎とされており、症例数は比較的多い。

ドイツの二次診療施設の報告では、慢性的な下痢症状の71%が慢性腸症の可能性がある。

犬さんの慢性腸症の病態はほとんど明らかになっておらず

部分的には人のIBDに似ているとされている。

遺伝的な素因と環境因子が相互に組み合わさることによって

腸内細菌や食物抗原に対して、過剰な免疫応答が惹起されて発症するのではないか?と考えられている。

近年では、腸内細菌叢の健常な状態からの逸脱

いわゆるディスバイオーシスが原因なのではないかという考え方も出てきており

ディスバイオーシス→細菌叢の乱れ→細菌による代謝物の減少

→粘液が減少→腸粘膜バリア機能の低下

→病原体や食物抗原の侵入→制御性T細胞の減少

→局所と全身の炎症

のような流れが起きているのでは無いかと考えられている。

慢性腸症は大きく四つに分類される。

食事反応性腸症、抗菌薬反応性腸症、免疫抑制薬反応性腸症、治療抵抗性腸症の四つである。

この中で食事反応性腸症がおよそ半数を占め、比較的予後は良い。

抗菌薬反応性腸症は、近年の抗菌薬の使用に対する提言などより

以前よりは診断機会は減っている?

が、一定の割合で抗菌薬がないと治療できない症例もいる。予後は悪いかも。

免疫抑制薬反応性の腸症に関しては

プレドニゾロンもしくはブテソニドを使用する。

基本的に、食事療法も併用し、プレバイオティクス強化も有用。

慢性的な下痢に対して食事は何を選択するか?

低タンパク血症がないのなら、低アレルゲン食を選択。

低タンパク血症があるのなら、低脂肪食or低脂肪+低アレルギー食を選択。

治療抵抗性腸症と免疫抑制薬反応性腸症については

タンパク漏出性腸症になりやすいとされる。

つまり、低アルブミンに陥りやすい。

タンパク漏出性腸症の治療の主軸は、食事!

とにかく食事!

低脂肪食もしくは超低脂肪食(ジャガイモ&ササミ)を使用。

そこにプレドニゾロンの使用をどうするかを検討する。

一部の慢性腸症ではリンパ腫に発展していくのではないか?と考えられている。

これからの慢性腸症の治療として

比較的新しい話題としては

プロバイオティクス、糞便移植、間葉系幹細胞投与の3つが挙げられる。

これらはまだ臨床現場ですぐに利用できるわけではないが

将来的には有用になる可能性がある。

こんな感じでしょうか。

読まれて参考になるのかどうかは甚だ疑問ではありますが

自分の中での知識の整理にはなりました。

こういう形で挙げるのもたまにはいいですかね。

慢性腸症や蛋白漏出性腸症といった病態は

僕たちのような一次診療の動物病院でも

比較的良く遭遇する疾患でして

当院にも現在治療させていただいている患者様がいらっしゃいます。

新しい治療方法なんかのエビデンスがどんどん蓄積されて

今まで予後が良くなかったであろう子達も

上手くコントロールできる時代が来ると嬉しいですね。

それでは今日はこの辺で失礼致します。

  1. セミナー投稿ありがとうございます!
    セミナーは聴けないので勉強になります
    ネット検索しても情報が古かったり、以前CAP犬の慢性腸疾患の本を買ってみたのですが、中古で2019年のだったので、食事療法の次に抗菌薬治療になってました笑
    今は抗菌薬治療が最後になってきてると教えて頂き理由もなるほどと思いました。
    慢性腸炎になり5年になりますが、再生医療をやってみようかと思ったほど なかなか改善しない時期が長かったですが 食事療法とプロバイオティクスとパラカゼイ菌入りサプリメントを飲み、筋力が落ちないように運動をしっかり意識してやるようにし 最近は少ない量のプレドニゾロンで過ごせるようになりました。これからも定期検診をして体調管理していきます!
    よろしくお願いします( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
    空の肺炎治療もありがとうございました。

    • >鼓太郎様
      いつもコメントをありがとうございます!
      以前まで、当たり前だと考えていたことが少しずつ覆されたり
      古い薬だと思っていたものが再び脚光を浴びることがあったりと
      医療の世界は変化に富んでいます。

      これからも可能な限り、最善のサポートをさせていただけるように頑張りたいと思います。
      こちらかそよろしくお願いいたします。

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