みなとまちアニマルクリニック(清水区動物医療センター)は、心臓病・腎臓病・麻酔に力を入れている動物病院です。

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どうして急性下痢に抗菌薬を使わないのか?

先日、診察の中でご質問があったのと

望月が先日アメブロにも消化器セミナーのメモを書いていたので

今日はそこの点に絞って、そのセミナーを掘り下げようかと思います。

急性下痢によく使用される抗菌薬としてメトロにダゾール(商品名フラジール)が挙げられます。

下痢の症状で動物病院を訪れた経験のある方は聞いたことがあるかもしれません。

このメトロニダゾールという薬剤を含め

下痢に対して抗菌薬を使用するシーンが激減しているんですよ、というのがこのセミナーの内容でした。

じゃあ、なぜメトロニダゾールの使用頻度が激減しているのでしょうか?

理由一つ目は

メトロニダゾールはDNAに損傷を与えるのではないか?という指摘があるためです。

短期的な投与であれば、休薬により戻ると言われておりますが

長期的な投与による影響は不明なため、長期投与を避ける方が無難と言われております。

理由二つ目は

犬さん・猫さんにメトロニダゾールを使用することによって

たまに神経症状などの副作用が発生するためです。

犬さんと猫さんでやや症状は異なりますが、どちらにも発生する可能性があります。

理由その3は

メトロニダゾールを使用していて本当に下痢が良くなるのか?という疑問を呈する報告がでてきている点です。

60頭の急性下痢症状を呈した犬さんに

メトロニダゾールを使用した群と使用していない群で回復までの期間に有意差がなかったというものが2019年に出ていたりします。

あとは、メトロニダゾールに対して耐性を示す耐性菌が増えてきていますよ、みたいな報告もあったりします。

これらの理由などから

2020年に、慢性腸症に対する抗菌薬の使用を控えるようにという提言が発表されました。

内視鏡検査による組織生検などによって、明らかな感染性疾患が証明された時か

もしくは食事やステロイド剤などの他の治療を試した後に、抗菌薬の使用を検討するとされています。

以前の慢性腸症に対する治療順序に関しては

ステロイドが最終手段みたいになっていましたが

今では、ステロイドと抗菌薬の順番が逆転してしまった形になります。

もちろん、ステロイドの順番が先になったからといって安易に使用していいというわけではなく

どちらかというと抗菌薬の乱用を防ごうという意味合いの方が強いような気もします。

実際、当院でも急性下痢に対して抗菌薬の使用をこの1年半ぐらいはほとんどやめてみました。

下痢で来院される子はほぼ毎日といっていいほどいらっしゃいますが

メトロニダゾールを急性下痢症状に使用した症例は一人か二人だと思います。

それも特別な基礎疾患があったり、何かしら特殊な事情がある場合にのみ

短期的に使用させていただいております。

それでも、急性下痢症状に対する治療成績が悪くなったようには感じません。

なので、やっぱりあんまり必要なかったのかもなと今になって思います。

実際にやめてみたからこそ後からわかるわけですが

今まで一般的に行われてきた急性下痢に対する治療を変更していくというのは

なかなか抵抗の強いものだろうなあ、ということは想像に難くありません。

なので、世の中全体の流れが変わるにはまだだいぶ時間がかかるのかなとは思います。

ですが、少しずつ抗菌薬の乱用症例が減って、地域の耐性菌が減っていくといいですね。

それでは、今日はこのへんで失礼いたします。

  1. 先日大山先生に耐性菌の話を聞かせて貰いとても勉強になりました。
    以前の病院では、ブラジールが処方されていました。プレドニゾロンを使うよりブラジールの方が身体に害が少なそうなイメージでした。最新のを情報を発信して貰えるのは自分にとっても勉強になり、病院の治療方針も理解する事ができ、安心出来る事に繋がり感謝してます。

    • >鼓太朗様
      コメントありがとうございます。
      先日診察室でいただいたご質問をそのままブログにアップしてみました。勝手にすみません。
      良くも悪くも情報というものを簡単に発信できて、得ることのできる時代になったなと思います。
      そういう時勢に合わせて、動物病院としてできることをこれからも続けていきたいと思います。

      いつもありがとうございます。本日も検査お疲れ様でした。

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