みなとまちアニマルクリニック(清水区動物医療センター)は、心臓病・腎臓病・麻酔に力を入れている動物病院です。

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よく診る腎泌尿器疾患と向き合う

昨日はロイヤルカナンさん主催の

ベテリナリーシンポジウムがありました。

会場とオンラインのハイブリッド開催だったので

病院で拝聴させていただきました。

で、今年のタイトルが今日のブログのタイトルです。

腎泌尿器疾患ですね。

8月に腎泌尿器学会があったり

VETDOCKというセミナーでも慢性腎臓病についての討論があったり

今回のベテリナリーシンポジウムでもそうですし

今月末にもまた別のところで慢性腎臓病のお話があったりします。

立て続けに腎泌尿器分野の学会やセミナーが行われている感じです。

特に、慢性腎臓病の管理について少しずつ変わってきているように感じます。

慢性腎臓病というと

昔は、血液検査をした際に

BUNやCreが高い、いわゆる高窒素血症という状態が見つかったら

『腎臓が悪いねー』『タンパク制限が必要ですねー』『皮下点滴が必要ですねー』みたいな

そんなフワッとした感じの流れがありました。

そういったフワッとした感じの悪しき流れにも段々と変化が訪れてきています。

血液検査で腎数値が高いことがわかれば

なぜ高いのかを画像検査、尿検査、血圧測定などを実施することで原因を追求しなければいけないですし

慢性腎臓病のステージをきちんと決めたり

現在の病態をきちんと把握するために、SDMAやFGF23といった項目の測定も行われるようになってきました。

タンパク制限に関しては

体重減少を引き起こしてしまうことが懸念されるため

早期の腎臓病に関しては、タンパク制限をかけることなくリン制限だけをかけるフードも発売され始めました。

『何でもかんでも腎数値が高いから腎臓病療法食』という時代ではなくなってきています。

リンを制限することに関しても

早すぎるリン制限は高カルシウム血症になってしまうリスクがあるため推奨はされておりません。

FGF23の測定が商業化されたことにより

リン制限開始の適切なタイミングを以前よりも早期に発見することが可能になっています。

点滴に関しても

以前より人間の方の医療分野では過剰輸液の弊害は叫ばれるようになっており

そこを受けて獣医療分野でも、ここ数年で過剰輸液はいけないよーということが言われています。

ただ、あまり腎泌尿器分野に関して

特に皮下点滴に関しては、あまり言及されることが少ない?もしくはほぼない?ような気がしておりました。

僕も臨床現場で働き始めた時なんかは

多くの腎臓病の子が毎日のように皮下点滴に来院されていたように思いますし

自宅用に皮下点滴セットを処方している場面もよく目にしました。

お盆休みや正月休みなんかの

動物病院が休診になるようなタイミングには

皮下点滴組に点滴するために当番で休日出勤しておりました。

それぐらい、腎臓病の子に皮下点滴をします、っていうのは日常茶飯事な診療業務でありました。

確かに皮下点滴をすると元気になる子はなるんですよね。

しかも腎臓の数値も下がるんです。

一見良さそうな気もするわけなんですが

脱水しているかどうかわからない腎臓が悪いであろう子に

果たしてナトリウムを負荷するような真似をして本当に良いのか?

あまり考えられてこなかったんじゃないかと思います。

みんながみんな、昔からこうやっているから続けています、という人が多かったんじゃないかと。

で、考えているだけだとわからないので

実際に実行に移してみたんです。

みなとまちで働くようになって診療方針を自分で全部決めることができるようになったので

可能な限り皮下点滴をしないで腎臓病の子を管理するようにこの2年間頑張ってみたんです。

結果はどうだったんですか?と言いますと

当院にも今、IRISのステージ分類で言うところの2〜4までの方々が通院してくださっておりますが

誰一人、皮下点滴での通院というものはしていないんですね。

中には薬剤やサプリメントなどを服用していただいておりますが、定期的な皮下点滴というものはしておりません。

結論、まだ2年と短い期間ではありますが

なんとなく慢性腎臓病の子たちの予後が伸びてきているよう2感じます。

あれ?これ皮下点滴必要なかったんじゃない?むしろ予後を悪化させたりすることもあるのかな?

とか今は考えております。

もちろん、例外はどんなものにもありまして

慢性腎臓病の急性増悪期や

めちゃめちゃ脱水しているけど入院が何らかの理由でできない時なんかは

皮下点滴という選択もありだとは思います。

が、食欲があって自分で水を飲めている慢性腎臓病の子に関して述べるならば

皮下点滴は必要ないですし、害にもなり得ると思います。

皮下点滴に関しては、現時点ではあくまで個人的見解に過ぎませんが

昨日のシンポジウムの最後に皮下点滴に関しての質問がありました。

米国の獣医内科学専門医を取得した先生も

皮下点滴は極力やらない感じでおっしゃっていたので

もしかしたら、そういった考え方が今後増えてくるのではないかなと

少し期待していたりもします。

ほんの少しずつでも、世の中の考え方が良い方向に向かっていけば

犬さん・猫さんの健康寿命も少しずつ伸びてくるんじゃないかなと思っています。

今回のセミナーでも

尿中カルシウム/クレアチニン比の商業化に動いている話なんかがあることも知れたりと

新しい知識を得ることもできました。

また腎泌尿器分野の診療幅を広げることができそうです。

長々と失礼しました。

今日はこのへんで失礼いたします。

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