みなとまちアニマルクリニック(清水区動物医療センター)は、心臓病・腎臓病・麻酔に力を入れている動物病院です。

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猫さんの血尿

本日は予定していた手術が急遽延期になり

昼の時間が少し空いたので、獣医学フォーラムを聴講しておりました。

今日の講義は猫さんの血尿について。

猫さんの頻尿、排尿障害、血尿などの症状を示す一連の疾患を

猫の下部尿路疾患(FLUTD)と呼びますが

この下部尿路疾患の原因は以下の通りとされております↓

・特発性膀胱炎 60-70%

・尿石症 10-20%

・細菌性膀胱炎 1-10%

・その他(腫瘍、神経性など)

とされております。

猫さんは犬さんと比較して感染性膀胱炎はほとんどないので

(年齢とともに尿比重が低下してきた子などは例外ですが)

上記のように特発性膀胱炎と尿石症が下部尿路疾患の原因のほとんどを占めます。

この講義ではこの二つについて新しい知見も含め述べられておりました。

というわけで、今日と明日で一つずつ講義の内容をおさらいしたいと思います。

今日はとりあえず猫さんの尿石症についてです。

まず、最初に述べられていたのは

結晶(尿石ができる前段階とでもいいましょうか。結石の元みたいな感じととらえてください。)が確認されること

≠猫さんの下部尿路疾患ということです。

結晶があるからといって、その時点で『はい、治療開始しましょうね』ではないということです。

6歳以上の健康な猫さんを対象とした報告では

100頭のうち41頭で結晶が確認されたとされています。

健康診断でも見つかることの多い結晶ですが

その後の経過観察次第で治療するべきなのか、しなくていいのかを決めていく必要がありそうです。

次に猫さんの膀胱にできる尿石の種類ですが

おおよそストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石が半分半分で

この二つだけで90%以上を占める形になります。

ストルバイト結石に関しては、食事療法や感染に対する抗菌薬治療によって

内科的に溶解することが可能な尿石とされております。

一方、シュウ酸カルシウムは溶解が難しい結石となりますし

猫さんの命に関わる可能性のある尿管結石(膀胱にできるものではなく尿管にできるもの)の

原因のほとんどはシュウ酸カルシウム結石とされておりますので

シュウ酸カルシウム結石は、いかに予防していくか?が非常に重要となります。

シュウ酸カルシウム結石を予防する上で大事なポイントは以下の3つです。

①高カルシウム血症の有無

②食事管理とモニター

③高カルシウム尿症への対策

まずは血液中のカルシウム濃度がどうなのか?

これが高いのであれば、まずはこの原因を特定しましょうということです。

猫さんの高カルシウム血症の原因は色々とあるのですが

主なものは、特発性高カルシウム血症、慢性腎臓病、悪性腫瘍ぐらいでしょうか。

おそらく一番偶発的に発見されるのは特発性高カルシウム血症かと思います。

『特発性』という言葉は基本的に原因がわからないですよー、ということなので

他の病気がないことを確認する除外診断によって診断をつけていく形になります。

で、特発性高カルシウム血症だよ、となればそれに対する治療を実施し

カルシウム濃度が高くならないように管理するということになります。

次に食事管理とモニターについてです。

シュウ酸カルシウム結石を予防する上で必要な食事管理は以下の感じです。

・ウェットフードを使用する or 食事に水を加え、尿比重の低下を図る。

・尿酸性化食は避ける

・葉物野菜と肉類は避ける

これらの食事に気をつけながら

定期的な尿検査を実施することによって

尿の比重やpHをチェックします。

同じに生活しているつもりでも、知らないうちに尿石症になりやすい尿になっていないかをチェックする必要があるわけですね。

食事に気をつけていても、どうしても尿のpHが酸性によってしまう場合は

薬物療法としてクエン酸を飲ませるという手もあります。

クエン酸は尿のアルカリ化に一役買ってくれますし

尿中クエン酸濃度が増えることでCaイオンをキレートしてくれるという作用も併せ持ちます。

食事などでどうしても管理が難しい時は、使ってみるのもありかもしれません。

最後にカルシウム尿症に対しての対策ですね。

犬さんの研究で、シュウ酸カルシウム結石を作りやすいわんちゃんは

尿中カルシウム排泄量が多いことがわかっています。

(ちなみにこの子達の血中のカルシウム濃度は高くありません。)

この傾向は猫さんにもあるだろう、と言われておりまして

当たり前かもしれませんが

尿中にたくさんカルシウムが排泄されれば

シュウ酸カルシウム結石を作るリスクになってしまうわけです。

これに対しては、チアジド系利尿薬が使えるのではないか?と言われております。

血液中のカルシウム濃度が高くなくて

食事や水分量を調節してみても、シュウ酸カルシウム結石がどうしてもできてしまう場合は

そういった利尿薬を使用してみるのは一つの方法という感じです。

もうちょっと獣医療が進んでいけば

健康な猫さんの尿中のカルシウム濃度の基準値というものがちゃんとできて

健康診断とかで尿中カルシウム/クレアチニン比なんかを測定して

『今の食事だと、尿中カルシウム排泄量が多いので結石のリスクになりますね』とか

言える時代がくるかもしれません。

先日、検査会社さんに問い合わせて

猫さんの尿中のカルシウム濃度、マグネシウム濃度、リン濃度、シュウ酸濃度なんかは

測定してくださるとのことだったので

個人的には尿中ミネラル検査みたいな感じで

猫さんのデータを取っていきたいなあとか考えているわけです。

先ほど、登場しましたストルバイト結石の正式名称は

リン酸アンモニウムマグネシウム結石です。

つまり、尿中のリンやマグネシウム濃度が高くなれば結石のリスクになり得ると思います。

尿を取るだけで測定できるわけですから

動物には負担もないですし、健康診断なんかで測定すると食事指導なんかにも繋げられて面白いと思うんですけどね。

すみません。話の方向性が段々ずれてきましたね。

腎泌尿器は結構好きな分野なので、書き出すとどうしても長くなってしまうのですが

長すぎると疲れちゃうと思いますので、このへんにしておきます。

明日は、猫さんの特発性膀胱炎についてでも。

何回かこのブログでも触れているので、新しいことはあまりないかもしれないですが

ちょっと試してみようかなということもあったので、それらも含めて書ければいいなと思います。

それでは、今日はこのへんで失礼いたします。

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